Booties (2005)

FRP、檜、キュービックプリンティング(R)*(水圧転写印刷)
W50 × H60 × D40 (cm) × 3体

*「キュービックプリンティング」は株式会社キュービックの登録商標です。

 視覚によってイメージをキャプチャーすることが、狩りをして獲物を食すことに似ているように思える。光景を写真に残そうとすることは、そしてそれを携帯することは、所有によって自身をエンパワードしようとすることなのだろう。

 フルカラーの写真画像を立体物の表面に付着させる、水圧転写という印刷技術が開発されたとき、その技術は主に装飾に利用された。装飾とは、例えば、身体装飾が自身をエンパワードするために利用されているように、ものの価値をその素材そのもの以上に高めるために行う。
 目で見た画像がイメージとして脳に捕食され、物質化して身体に固定される。水圧転写印刷技術によって、そんな道筋を想起させられた。

 立体物に対して、平面画像で行われているのと同じような、コピー&ペースト・拡大縮小を行うことを考えた。写真が所有の欲求を満たすというのなら、立体物のコピー技術は、もっと強く欲望を満たしているのかも知れない。また、写真が絵画の権威を失墜させたというのなら、立体物のコピー技術も何かを変容させるのかも知れない。そして平面と立体のコピー&ペーストを複合して行えば、「実物」のもつ愚直さが、少しでも軽やかになるのかも知れない。

 

 

 装飾意匠としてのライオンとヤギを、コピー&ペーストして融合する。剥製を模して獲物として掲げられたそれらの表面には、キャプチャーされた画像としての印刷を与える。ライオンとヤギの捕食対象として「動物」と「植物」の柄、そしてエンパワードメントとしてのファイヤーフレームパターン。

 立ち現れたそれらの姿は、3DCGさながらのものとなった。画面から飛び出したようなその立体を、視線というハンターの前にさらす。それらは、イメージという獲物となって、さらにまた見る者に食させれる。

 

 

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